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【書評】アラブ人とユダヤ人―「約束の地」はだれのものか (2)

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まずは言い訳から。

771ページにも及ぶこの長大なレポートの中にはおびただしい数の人物が登場するので、正直、その全てについて言及するには、大変な労力がかかります。
なので、対象を絞りたいと思います。


前回書いたとおり、この本に登場する人物は、大きくアラブ人とユダヤ人に別れます。
今回のエントリーでは、とりあえずアラブ人についてざっくりと。


アラブ人は、その住む土地によって大きく三つに分かれます。アラブ国家に住むアラブ人、イスラエルに住むアラブ人、イスラエルの占領地に住むアラブ人です。

アラブ人は、概ね住む土地によって立場が規定されていると言っていいでしょう。もちろん、同様の立場にいる人間でも、人によってユダヤ人を敵視するものもいれば友好的な人もいて、考え方は、様々なわけですが。

アラブ国家に住むアラブ人は、少なくともアラブ人としての立場が確立しているわけで、あまり、アラブ人としてのアイデンティティに悩むことはないでしょう。
もちろんアラブ国家のあり方、イスラム文化のあり方、イスラエルとの付き合い方。その中での、個人の生き方。さまざまな悩みはあるでしょうが、それも全て「アラブ人として悩んでいる」わけで。

イスラエル占領地のアラブ人も、逆の意味で立場ははっきりしています。彼らは被征服者であり、軍政に虐げられし者達であり。
イスラエルは占領地の教育をコントロールすることで反感を和らげようとしているが、この本によればそれが逆効果になっていて。アラブについて正しく教えないことで、逆にアラブの子供たちは、歪んだ情報をどんどん勝手に取り込み、かえってユダヤ人への反感や偏見を育てていく、妙な形で、アラブ人としてのアイデンティティを育てていく。


たまたま目についたので。参考として、このリンクを出しておきます。
土井敏邦Webコラム:日々の雑感 278:【パレスチナ現地報告】(3)西岸の空気を象徴するラマラのデモ
土井敏邦Webコラム:日々の雑感 280:【パレスチナ現地報告】(5)入植地と分離壁に包囲されたサルフィートの家族



むずかしいのは、イスラエル市民であるアラブ人ですねー。多くは、アラブ人としての自分とイスラエル市民としての自分の間で、アイデンティティが揺れている。

かつてユダヤ人がヨーロッパ社会の中でそうしたように。異質な社会の中で認められようと頑張り、イスラエルという国の中で出世したり金持ちになったアラブ人も大勢います。しかし彼らには前回書いたように兵役がありませんので、
「俺たちが最前線で戦って守ってやってるあいだに、ぬくぬくと肥え太りやがって…」
というユダヤ人からのやっかみを受けたりもするわけです。

そうでないアラブ人の多くは、社会的に一段下の立場にあったりします。
「掃除夫といえばアラブ人」
みたいなイメージを、多くのユダヤ人が勝手に持ってたりするし、実際そういう仕事で食ってるアラブ人が多かったりもすると。

そういう難しい立場の中で、しかし表面上はイスラエルは「開かれた民主主義国家」という体をなしているわけですから、アラブ人たちだってさまざまな政治的主張を持ち、さまざまな生き方をしているわけです。


…と、いうのが本書に登場するアラブ人たちの姿のざっくりした説明となります。
今回のエントリーはここで終わり。次は、ユダヤ人たちについて書きます。
いよいよ本論です。

(続く)



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